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 エンジン

オーバーホール
基本的な作業工賃は決まっていますが、内部の状態によって作業内容や交換部品がかなり変わってきますので、エンジンを開けてから見積書を作成するようになります。納期はひどい損傷等が無い場合はシングルエンジンで2週間、4気筒でも1ヶ月前後になります。ただ部品待ちや特殊工具の手配、混雑状況で時間が掛かる場合があります。
絶版車や希少車で部品が生産中止でも、修正や加工、部品製作、代替品の手配等で対応出来る場合があります。

走行距離や年数を重ねたエンジンの場合、全体的に痛んできているためフルオーバーホールを推奨します。ヘッドのみや、ミッションのみを修理しても、しばらくすると他の部分も調子が悪くなって、再度エンジンを開けることになる可能性が高いです。

作業内容について

バルブクリアランス調整
冷間時のバルブとカムのクリアランスを測定し最適値に調整します。
アウターシムタイプはシムを厚さの違う物に交換して合わせます。
インナーシムタイプはシムを交換する際に一度カムシャフトを外さなければならない為、手間が掛かります。
アジャストスクリュータイプはアジャスターの調整で合わせられるのでシムは必要ありません。

ヘッド修正面研
歪みが出ている場合、必要最小限度の面研を行ない、平面度を取り戻します。

ヘッド面研
圧縮比を上げる目的での面研もあります。
削った分だけ燃焼室容積が小さくなり、圧縮比が上がります。
EXスタッド部を逃がすなどの特殊な面研も可能です。

バルブシートカット
シリンダヘッドのバルブの当る面が荒れている場合、密着性を取り戻すためにシートカットを行ないます。
バルブも長年の使用で磨耗しているので、入手可能であれば修正等せずに新品バルブに交換した方が良いです。
バルブ擦り合わせ
シートカット後に密着性をさらに高める為に最小限行ないます。

バルブセット長測定
バルブをシリンダーヘッドにセットした状態でのバルブステム側の突き出し長さを測定します。燃焼室容積やスプリングの荷重を合わせる場合は長さを揃える様にします。

バルブガイド打ち換え
バルブガイド内径が磨耗してバルブのガタが過大になっている場合はバルブガイドを打ち換えます。ガイドはメーカー純正品や社外品オーバーサイズ、無い場合は製作にて対応します。

バルブシートリング打ち換え
バルブシートの磨耗が限度を超えて、シム調整も出来なくなるぐらいになったり、特殊なバルブに変更する場合にはバルブシートリングを製作、打ち換えします。

ポート修正
段差や鋳型の合わせ面、バルブシートリング付近の加工部分との境目等を滑らかにつながる様に加工します。
ポート拡大研磨加工
修正に加えてさらに内径を少し広げ、表面の荒れを取り除いてスムーズに流れるようにします。

カムノーズ逃げ加工
ハイカムのカム山がヘッドと干渉する場合、ヘッド側に最小限の逃げ加工を行ないます。

シリンダーボーリング・ホーニング
シリンダー内径を新品ピストンの外径に合わせて加工します。純正オーバーサイズピストンや社外品ボアアップピストンに対応します。
内燃機屋にて加工後、真円度や円筒度を確認するためシリンダーゲージで内径測定します。

シリンダースリーブ打ち換え
ボアアップする時にスリーブの残りの肉厚が薄すぎる場合や、すでにシリンダーは入手不可で今以上のオーバーサイズピストンの設定がない場合に行ないます。スリーブは純正品や社外品、無い場合は製作で対応します。

バルブタイミング調整
通常はクランクエンドやカムスプロケットの合わせマークでタイミングをあわせればOKですが、ハイカムのST-2や3を使用する場合や、大幅な面研を行った時はバルブタイミングをより正確に測定・調整する必要があります。アジャスタブルタイプや長穴加工したカムスプロケットを使用し、微調整をします。

クランクメタル計測合わせ
クランクシャフトがメタル支持タイプの場合、クランクケースとクランクシャフトの寸法記号にあわせてメタル選定を行います。そしてプラスチゲージを使用して仮組みをし、クリアランスを測定して適正値に合わせます。
Z等のベアリング支持タイプでは必要ありません。

ピストン重量合わせ
ピストンとピストンピンの重量の合計が4気筒なら4つが揃うようにします。
ピストン裏を削ったり、ピストンピンとの組み合わせを考えて調整します。
コンロッド重量合わせ
コンロッド重量を4つ揃うようにします。強度を損なわない様、負荷の掛からない部分を削って調整します。
どちらとも電子天秤を使用して0.01g単位で測定します。

ピストンリング合口調整
ピストンリングをシリンダーに入れた状態での合口の隙間を調整します。クリアランスが少なすぎる場合、エンジン運転時にピストンリング先端同士が干渉し、シリンダー等が損傷します。

各部ネジ穴タップ修正
Z等でネジ穴が腐食して狭くなり、ボルトがスムーズに入っていかなくなっている場合は、全てのネジ穴にタップを通して修正・清掃を行ないます。

ヘリサート加工
ねじ山が崩れて無くなっていたり、締めてもトルクが掛からない所はヘリサートを挿入して再生します。

スタータモーターオーバーホール
モーターを分解し、内部の清掃、アーマチュア(回転子)のコンミテーターを研磨修正し洗浄します。またブラシ等が消耗していれば交換します。
ひどい損傷の場合はAssy交換になります。

スペックシート
完成後、各部測定値や加工内容等を書いた表を作成し、お渡しします。

2ストロークエンジン
新・旧2ストエンジンもオーバーホールします。
 

作業事例
RG500γ
クランクオーバーホール芯出しベアリング交換 ピストン0.5mmオーバーサイズ シリンダーボーリング ポート面取り ボルト穴損傷ヘリサート加工 オイルチェックバルブ追加 キャブオーバーホール等
ウルフ125
ピストン、シリンダー交換 クランクベアリング交換 ミッションベアリング交換 ウォーターポンプ修理
NSR250R
ピストン交換 クランクサイドシール交換 クランクシャフト点検 クラッチ交換 キャブオーバーホール等
RG125γ
ピストン0.5mmオーバーサイズ シリンダーボーリング ポート面取り ソレノイドガスケット製作


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